バルバンソン

Barbençon

大理石で栄えた湖畔の村

フランスとベルギーを隔てる国境沿いの街ボーモン。その街の小川が流れる緩やかな起伏の地に、バルバンソンの集落は佇んでいる。その名は中世に初めてこの地を治めた、バルバンソン候にちなんでいる。ガラスと大理石を用いた見事な製品を生み出す地としてその名を知られ、とりわけ大理石工通り(Rue des Marbriers)はその時代の名残を今に伝える。

 

16世紀に起源を持つサン・ランベール教会は、1720年に建てられた見事な鐘楼が魅力である。1975年に大規模な改修を終え、ゴシック様式とルネサンス様式が混ざり合う優美な姿で現在も村の中心に佇んでいる。教会内は特産の大理石を贅沢に用いており、バルバンソンの黄金期を物語る美しい空間が広がっている。とりわけ、床面は灰色とピンク色の2色の大理石が敷かれており、上品かつ高貴な印象を与えている。

 

教会から下っていくと、湖を見下ろすように建っていたバルバンソン城の跡が残されている。現在城の姿はないものの、城壁と20世紀に小さな館へと改築されたかつての塔が今なお残り、反射した姿が湖に美しく映し出されている。その湖には散策路が整備されており、徒歩や自転車、または馬に乗ってのんびりと一周することが出来る。天気の良い日には湖畔に面したカフェのテラスでゆっくりとした時間を過ごすのもお勧めである。

 

村内を散策すると目に留まるのが、石灰岩を積み上げて建てられた民家の数々である。中でも、城跡から湖を脇を抜けた先にあるかつての農場は見事である。ラ・ペリューク(La Perruque)の名で呼ばれる農場は、かつてはバルバンソン候に所有されていた。17世紀に整備された農場は、2つの建物が向かい合うようにして敷地を囲んでいる。入口のすぐ脇には銃眼が設けられ、防衛的な機能も有していたことがわかる。

 

バルバンソンを取り囲む自然環境の中で注目したいのが、セイヨウイチイの木々である。乾いて栄養素の少ない石灰質の土地はこの木々の生育に適しており、ベルギーでは数少ない自生地として大切に守られている。最も古いもので樹齢500から600年ほどに達し、2003年からは国の自然保護地に指定されている。

 

淡い灰色に染まった石灰岩の建物が、穏やかな湖と周囲の豊かな木々や放牧地に実に良く調和する集落は、平穏な時間の流れる空間が広がっている。自然の奏でる音に耳を傾けながら、そぞろ歩きを楽しみたい。

ナミュール州ボーモン町バルバンソン(バルベンソン)/Barbençon (Beaumont, PROVINCE DE HAINAUT)

面積:92,97 km2 (ボーモン

人口:7,137人(ボーモン町、2018年現在

公共交通機関の場合:

ブリュッセル南駅(Bruxelles-Midi)から電車に乗って、シャルルロワ南駅(Charleroi-South)下車。(約1時間)

シャルルロワ南駅前停留所(CHARLEROI/Sud)からワロン公共交通(TEC wallon)の109A番線(ligne 109A)に乗って、ボーモン・アテネ停留所(BEAUMONT/Athénée)下車(約40分)

ボーモン・アテネ停留所からバルバンソン旧市街へ徒歩で移動。(約50分)

車の場合:

ブリュッセル(Bruxelles)から100km(約1時間20分)

リール(Lille)から120km(約1時間30分)

飛行機の場合:

ブリュッセル国際空港から110km(約1時間20分)

「ワロンの最も美しい村」協会 加盟村

2020年02月06日:ページ更新

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