スモア川の右岸、緑豊かな背景の中で身を寄せるように佇むアルデンヌの村ラフォレは、民家と屋根の灰色を基調色とした落ち着きのある街並みを形成している。
かつて村の周囲は、たばこ栽培のために開拓された耕作地に囲まれていた。現在でもたばこの乾燥小屋は村を象徴する建物として大切に保存されている。
村の中心の開けた場所に建てられたサント・アガテ教会は遅くとも1779年の建築とされ、重厚感のあるどっしりとした印象を受ける。入口には個性的な楕円形の2つの採光窓が取り付けられ、白い壁を魅力的に演出している。教会内は、1966年にナムール県出身の芸術家ジャン=マリ・ロンドによって描かれたカラフルな天井画に彩られている。
この地域に特徴的な、石を積み上げた低い石垣で縁取られた散歩道。村の周囲に整備されており、新鮮な空気をいっぱいに味わいながら歩けば何とも心地良い。また村のすぐ裏手にある小高い丘を登れば、ラフォレの街並みを一望することが出来る。
この村では広い面積に高さを抑えた伝統的な住居が多く、平たいシスト(頁岩)や砂岩を積み上げて建てられている。奥行きのある住居を覆う低い傾斜の屋根はすべてアルドワーズと呼ばれる石材で葺かれており、農村らしい素朴な魅力を演出している。またフェジオー(Faisiaux)と呼ばれる荷鞍型の特徴的な屋根は多くの歴史的な建物に見られる。その他、ハート型のお守り、納屋の保護具、シストで出来た丸窓(œil-de-bœuf)、扉の淵飾り、木製の窓枠などアルデンヌらしい装飾も見どころである。
村の外れには農村の暮らしに不可欠だった水を利用した施設が保存されている。共同洗濯所は20世紀初めに建てられたもので、内部には傾斜のある大きな板を備えた桶が残されている。青色がかった石で作られた円形のフォルムが美しい池は、家畜の水飲み場として動物達ののどの渇きを癒していた。最後に共同生活用の小さな泉は19世紀に建てられたものである。
村の入り口にある別の水飲み場の淵では、おじいさんの鐘(Pépé Crochet)と呼ばれるカエルの像が見守っている。この不思議なキャラクターは、子供を水難事故から守るためのワロンに伝わる昔話が元となっている。
花々が美しい季節になったら、「ポン・ド・クレ(チョーク橋)(Pont de Claies)」と呼ばれる橋がスモア川に架けられる。木の枝を織る様にして作られた橋はスリル抜群で、童心に帰ったかのような気持ちにさせてくれるだろう。
農場と自然が残る牧歌的な村は多くの魅力に溢れており、訪れれば清々しい時間を過ごすことが出来るだろう。