ローヴェレ／Lovere

【イゼオ湖畔に佇む愛すべき村】

イタリア北部湖水地方に佇むこの村は、避暑地としても有名でヨーロッパ中の人々に愛されている。

湖畔に位置するポルト広場（別称：13マルティリ広場）はイゼオ湖畔で最も美しい憩い場として知られ、湖を眺めながらくつろぐ住民達の姿を見ることが出来る。

夜になると街を照らす優しい光が水面に煌めき、村はロマンチックな雰囲気に包まれる。

12～13世紀に城を中心として発展し城塞化されたことから、街中にはかつての城壁などが残る。

旧市街には城下町の名残りを留める塔を備えた民家が点在し、中世から続く街並みを特徴づけている。

村の中央に位置するエマニュエル2世広場に位置するのが、15世紀に建てられたチヴィタの塔。

高さは28mにも及び、かつては城塞を構成する一部だったが、現在は時計台として村人の憩いの場を彩っている。

中央部には1442年のフレスコ画が残り、ヴェネト王国に統治されていたことを示すライオンのシンボルが描かれている。

この街で最も歴史ある教会が、1252年に起源を持つサン・ジョルジオ教会。

15世紀に隣接するソカの塔が教会の建物に組み入れられ、まるで鐘楼が独立しているかのような現在の特徴的な構造となった。

教会内は19世紀後半にリノベーションされ、半円状の柱が並ぶコリント式クラシカル様式に彩られた空間が印象的。

その他、教会内には16世紀のフレスコ画から18世紀の祭壇画まで美しい宗教画や装飾の数々を見ることが出来る。

昔ながらの住居が多く立ち並ぶ通りにあるのは、サンタ・マリア・イン・ヴァルヴェンドラ大聖堂。

1473年に後期ゴシック様式の教会として建てられ始めたが、最終的にはロンバルド・ヴェネト風ルネサンス様式を取り入れながら1世紀後に完成した。

教会内に足を踏み入れると、豪華絢爛な空間に心を奪われる。

とりわけ左手の壁に飾られたパイプオルガンは近郊の街ブレシアの大聖堂のため1518年につくられたもので、17世紀にこの教会へと移設された。

その他、16世紀の美しいフラスコ画など見どころ豊富。

街中には多くのギャラリーが軒を連ね、芸術に触れることもこの村の楽しみの一つとなっている。

とりわけ湖畔沿いに佇むネオ・クラシカル様式の外観が見事なタディーニ館は1829年に開業した歴史ある美術館である。

18世紀イタリアの新古典主義芸術を代表する彫刻家、アントニオ・カノーヴァの作品などが残る。

また地元の芸術家による作品や磁器のコレクションなども豊富で、現在は美術学校も併設されている。