福島県北部磐梯山の麓に北塩原の村は位置する。1888年の磐梯山噴火により、檜原湖、五色沼など神秘的な湖沼群が生まれ、1950年には国立公園にも指定された。
1888年の磐梯山の水蒸気爆発によって、檜原宿が檜原湖の中に沈むことになった。水位が下がる冬~春には宿場町を見守っていた大山祇(おおやまづみ)神社の鳥居と参道を見ることができる。また冬が訪れると檜原湖の表面には氷が張り、ワカサギ釣りをするための色とりどりのテントが立ち並ぶ。
村には300ほどの湖沼が存在し、毘沙門沼、赤沼、みどろ沼、竜沼、弁天沼、るり沼、青沼、柳沼などを含む湖沼群は「五色沼」という総称で親しまれている。それぞれの沼の水質、天候、季節、見る角度などによって、様々な色彩が楽しめることからこの名がついた。最も大きな「毘沙門沼」では手漕ぎボートで沼を散策できるほか、雪の積もった冬にはスノーシューを履いてしか行けない幻のルートを散策することもできる。
磐梯朝日国立公園に指定されている北塩原村では、建築物に用いる色にも規制があるため落ち着いた景観が楽しめる。また、檜原湖畔に構える会津米沢街道桧原歴史館は江戸時代に建てられた「検断屋敷」を移築復元し会津米沢街道の歴史と当時の暮らしを紹介している。
北塩原村に訪れたらぜひ試したいのが山塩である。9世紀に弘法大師が岩を割ったところ塩泉が湧き出したという伝説が残り、村では塩づくりが盛んになった。塩の生産は江戸時代に最盛期を迎え、明治期には皇室にも献上された。一時は廃れ伝統は途絶えてしまったものの、2007年より村の有志によって復活した。ミネラル分が豊富で、まろやかな甘みが特徴である。
国内屈指の高原リゾート地である北塩原村には、おしゃれなペンションなども多く立ち並ぶ。裏磐梯エコツーリズム教会による人気のガイドツアーに参加して、北塩原村の魅力を心ゆくまで楽しむのも良いだろう。