【リクヴィール】ミシュラン星付き!美しい村で味わう自然派フレンチ:ラ・ターブル・ドゥ・グルメ/La Table du Gourmet

アルザス地方の可愛らしい村リクヴィール。木組みの家が建ち並ぶ姿は、まるで絵本の世界へ足を踏み入れたかのようです。そんな「フランスの最も美しい村」の一つリクヴィールには、1995年からミシュランで星を獲得し続けている名店があるのです。今回は、美しい村を代表する本格フレンチレストラン、ラ・ターブル・ドゥ・グルメを紹介したいと思います。

菜園から届ける一皿

ラ・ターブル・ドゥ・グルメのオーナー・シェフ、ジャン=リュック・ブランデル(Jean-Luc Brendel)さんの持っている料理哲学を端的に表したのが、コース名にもなっている『菜園から一皿へ(Du Jardin à l’assiette)』という言葉。リクヴィールの小高い丘の上で大切に育てられた自家菜園から収穫した旬の食材を、そのまま一皿の料理としてお客に提供しています。

※Du Jardin à l’assiette(5月中旬から12月中旬まで提供):88ユーロ

シェフにとって『豪華』であるという事は、ただ高級食材を使っているという事ではなく、毎朝菜園へ出かけて摘み取った野菜を一皿の料理として提供できるという事なのだそう。インゲン豆やジャガイモはもちろん、卵や蜂蜜も自分の菜園から届けられています。でも、そこで終わりではありません。料理のくず野菜などは、再び自家菜園へと持ち込まれ、肥料や鶏のエサとして循環します。

またこのレストランは家族経営ならではの、おもてなしも魅力的です。シェフは妹ファビアンヌさんと奥さんのアンヌさん、そして姪のジュリさんと共に経営を行っています。家族と共に作り上げてきた自慢のレストランに、ぜひとも足を運んでみてくださいね。

冬限定の限定コース:ムニュ・マルシェ・ド・ノエル

テーブルに着くと用意されていたのは、便箋のようなメニュー表。封を開くと、最初のページにはブランデルシェフの料理哲学が書かれています。さらに封筒を開くと姿を現すのは、半透明の紙に印字された料理表。凝ったプレゼンテーションに、期待も膨らみます。

今回注文したのはクリスマスシーズン限定で提供しているムニュ・マルシェ・ド・ノエルというコース。2品づつ用意された前菜・メイン・デザートから1種類づつを選べるプリフィックススタイルで、食前の2皿のアミューズブーシュ(突き出し)と食後の小菓子がついてきます。

クリエイティビティ溢れるアミューズ

2回に分けて運ばれてくるアミューズ。どちらも創意工夫に溢れ、これから運ばれてくる料理への期待と食欲をそそります。

「ピーナツのチュイール、セロリムース」:香ばしいピーナッツチュイールの軽い食感に、爽やかなセロリが香ります。両方素材が引き立つ、そのバランスがとても美味しかったです。

「ブドウのファルシ、ケールのチップス添え」:みずみずしいブドウの粒には、オリーブ風味の詰め物が隠されていました。程良い塩気が甘みを惹きたてる贅沢な一品。添えられたケールのチップスは、このお店らしい自然派の美味しさでした。

「ホワイトチョコレートを纏ったニンジンの冷静スープ」:ホワイトチョコレートで出来た薄い膜の内側には、自然の甘み感じる人参のスープが詰められていました。思わず笑みがこぼれる、クリエイティブな料理です。

「魚介のムース、ビーツの飴細工にのせて」:赤い帽子を被った可愛らしい一品は、飴のパリっとした食感と、ハーブの効いた魚介のムースが絶妙の味わい。上に載っている黒い粒は、このレストランオリジナルの野菜のキャビアです。

クリスマスの定番と自慢の自家菜園の野菜たち!

フランスではクリスマスの定番と言えばフォワグラです。紀元前2500年頃にはすでに食べられていたと言われていますが、16世紀以降アルザス地方でフォワグラとハーブを組み合わせた優れたレシピの数々が考案されたそうです。18世紀には、アルザスの中心都市ストラスブールが「フォワグラの都」としてその名を知られていました。そんな伝統ある郷土料理フォワグラをクリスマスムードに包まれながら食べるのも良し、前述したようにシェフ自慢の自家菜園の野菜を用いた前菜を味わうも良し!どちらも魅力的で迷ってしまいます。

「フォワグラの冷製、4種のマルメロと共に」:完璧な火入れで提供されるフォワグラは、柔らかで滑らかな口どけです。濃厚でありながら、しつこさの無い味はさすが星付きレストラン。丁寧に調理されたカブと、優しい酸味に甘みのあるカリンの仲間マルメロを使った4種のソースが添えられ、フォワグラと心地よいハーモニーを奏でます。

「野菜のタルタル」:半透明のビーツのゼリーの下には、細かく刻まれたりんご、ピクルス、セイヨウワサビ、海藻をはじめとする、自家菜園の野菜が隠れています。自慢のベジタブル・キャビアがふんだんに盛られ、このお店の料理哲学を体現する華やかな一品に仕上がっていました。

素材の美味しさ感じるメイン料理

このコースのメイン料理は魚と肉の2種類の料理から選ぶことが出来ます。どちらも食べて感じたのは、メインとして使われている食材が一級品だという事です。確かな腕の調理法と交わり、最高の料理を約束しています。

「ホタテのポワレ、人参の葉と共に」:フランス語では、「人参の葉?(Fane de carotte ?)」と名付けられた料理は、普段だと捨てられてしまう人参の葉を中心に盛り付けがなされ、テーブル上で人参のスープが注がれます。目の前で料理が完成するので、見た目にも楽しい一品。ふわふわと柔らかなホタテは、生姜が効いた自然な甘みの人参スープと相性抜群!

「若鳥のコンフィ、柚子香るオランデーズソース」:丸々と肉付きの良い若鳥のコンフィをグリル。芸術作品を眺めているかのような盛り付けに、繊細な味付けを楽しむことが出来ました。もう一つ嬉しいのは、フライシュナッカ(Fleischsnacka)というアルザスの郷土料理を付け合わせとして頂くことが出来たことです。平たいパスタでひき肉などをくるくると巻いた料理ですが、野生のひまわりの一種エリアントゥス(Helianthus)を使用した大胆なアレンジが加えられていました。

熱々?ひんやり?2種類の異なる魅力のデザート

デザートは熱々の焼きたてスフレと、マンダリンオレンジのシャーベットの2種類から選ぶことが出来ました。どちらも軽い口当たりで、お腹がいっぱいなのにすんなり食べられてしまいました。

「ココナッツ風味のスフレタルト、ヴェルヴェーヌ香るアイスクリーム添え」:スフレタルトは熱々ふわふわ。口の中でしゅわっと溶け出します。食べ進めると、甘酸っぱいフランボワーズ(キイチゴ)のピュレが入っていて、タルト部分のさっくりした歯ごたえと共にスフレにアクセントを加えます。添えられたアイスクリームも、清々しいハーブの香りが漂い、温かいスフレと抜群の相性でした。

「マンダリンオレンジのシャーベット」:まるでオレンジをそのまま凍らせたかのような見た目のデザートですが、周りにコーティングされたチョコレートを割ると、中にはマンダリンオレンジの爽やかな香りと甘みが凝縮したシャーベットが詰められています。美味しさはもちろん、お客様を楽しませようというシェフの心意気を感じることが出来る一品です。

このコースは小菓子までが含まれていて、「パッションフルーツのマシュマロ」「キャラメル・ブール・サレ」「ビターチョコレートのマカロン」がついてきました。どれも、有名パティスリーに負けない、印象的な味わいで最後まで大満足の食事となりました。ちなみに、私たちはこだわりのコーヒーを追加で注文しました。

ラ・ターブル・ドゥ・グルメ(La Table du Gourmet)住所:5 Rue de la 1E Armée, 68340 Riquewihr
TEL:+33 3 89 49 09 09
営業時間:
水曜日、木曜日:夜19時15分~21時
金曜日~月曜日:火曜日:昼12時15分~13時30分、夜19時15分~21時

定休日:火曜日
Webサイト(英、仏、独):
https://www.jlbrendel.com/fr/table/la-table-du-gourmet.html
-最低予算-
平日昼:前菜・メイン・デザートの3品で38ユーロから
休日昼、夜:前菜・メイン・デザートの3品で88ユーロから

自然の優しい味に溢れる料理は、心に残る感動的な味でした。美しい村で食べる、芸術的な料理はいかがでしょうか?

【一緒に読みたい】

Share your thoughts