アングル・シュル・ラングラン

Angles-sur-l'Anglin

1万5000年もの時を織る村

廃墟となった城塞が佇むせり立った崖の麓、アングラン川(Anglin)の河岸にアングル・シュル・ラングランの村は広がっている。アングルの城塞(Forteresse d’Angles)の遺構は、アングラン川流域を支配していたリュジニャン公(Comtes de Lusignan)によって1025年に建設され、15世紀に改修された後に手が入れられることなく残されたものである。

 

村の名前の語源にはいくつか説があるが、5世紀に西方系ゲルマン民族のアングル人が北方の島に侵略したことからアングルの地(イングランド)と名付けられたのと同様に、9世紀にカール大帝(Charlemagne)がアングル人の子孫の部族をガルトンプ川(Gartempe)の支流(※現在のアングラン川)へと追いやったからことに由来すると言われている。ちなみに、村が三角(Triangle)の地形をしていることから、ラテン語のAngulata(※角ばった地形の土地)に由来しているとする説もある。

 

村を登っていくと、サン・ピエール礼拝堂(Chapelle St-Pierre)に寄り添うように、ポアトゥー地方のロマネスク様式の鐘楼が美しい12世紀のサン・マルタン教会(Église St-Martin)が迎えてくれる。川を挟んで反対側には、かつての修道院があった13世紀の門が残るサント・クロワ礼拝堂(Chapelle Ste-Croix)があり、中央を流れる川には歴史を感じる橋が架けられ、水車小屋が建つ光景は趣に溢れている。

 

村のすぐ近くには、ロック・オ・ソルシエール(Roc aux Sorciers:魔女の巌の意)と呼ばれる石灰質の洞窟があり、1万5000年前に彫られた旧石器時代マドレーヌ期の洞窟壁画フリーズ(frise)が残されている。現在は、インタープリテーション・センターとして保護され展示も行っているので、時間があればぜひ足を延ばしてみたい。

 

この村を訪れたらバターの香りが豊かな大きなガレットクッキー、ブロワイエ・デュ・ポワトゥー(Broyé du Poitou)を試してみると良いだろう。ブロワイエ(broyer)とはフランス語で「砕く」という意味なので、大勢の友人と共に味わい楽しい時間を分け合いたい。

 

また、アングル・シュル・ラングランは150年ほど前からジュール刺繍(Jours)で有名な村としても知られ、パリの百貨店に構えるような高級店に供給してきた。独特な技法で織られて浮かび上がる透かし模様は、シンプルでありながら気品を兼ね備えている。

 

ユッシュ・コルヌ(Huche Corne)と呼ばれる高台からは、しだれ柳の垂れる川沿いに拡がる村の素晴らしい眺望が広がっている。1万5000年前の壁画彫刻から、150年前から続くジュール刺繍に至るまで、この村に流れる果てしない栄光の時の流れに思いを馳せたい。

ヴィエンヌ県アングル・シュル・ラングラン(アングルシュルラングラン)/Angles-sur-l’Anglin (VIENNE)

面積:14,75km2

人口:375人(2015年現在)

公共交通機関の場合:

パリ・モンパルナス駅(Paris-Montparnasse 1-2)からSNCFに乗って、シャテルロー(Chatellerault)駅下車(※最も早い乗り換え無しのTGVで、約1時間20分)

シャテルロー(Chatellerault)駅前停留所から、ヴィエンヌ交通(Lignes en Vienne)204番線のバスに乗って、ラ・ロッシュ・ポゼ(La Roche-Posey)へ(※約30分)

ラ・ロッシュ・ポゼ(La Roche-Posey) から、タクシーに乗ってアングル・シュル・ラングランへ(※約15分)

車の場合:

ポワティエ(Poitiers)から50km(約1時間)

パリ(Paris)から340km(約3時間30分)

飛行機の場合:

パリ・シャルル・ド・ゴール国際空港から370km(約3時間40分)

「フランスの最も美しい村」協会 加盟村

Photoed by Dratoc – pixabay.com

2018年8月18日:ページ更新

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