昭和村

Showa

こんにゃくの森に佇むかぶと造りの民家の村

群馬県のほぼ中央、日本百名山の一つ赤城山の北西麓の緩やかな裾野に昭和村は位置する。北端から西端に向けて片品川と利根川が流れており、大規模な河岸段丘が形成されている。

 

日本有数の高原野菜の産地であり、とりわけこんにゃく芋は国内で採れる30%近くが昭和村で栽培され、日本一の生産量を誇る。その他、レタス、ホウレン草、ジャガイモ、トマト、キャベツなどの野菜や、リンゴ、イチゴ、ブルーベリー、サクランボなどの果物など、「やさい王国」と名乗るのには恥じないほど多くの農作物を生産している。

 

20世紀に入ると、村は養蚕が盛んとなった。茅葺屋根の民家はすでに消滅してしまったが、村内にはかぶと造りの養蚕民家が数多く残っている。群馬県の他の地域と比べ、このような民家が多く残されているのは、コンニャク芋の苗を冬場に暖かい場所で保管しなければならないため、保温性に優れた養蚕民家の上階を保存場所として活用していたからだと考えられている。

 

ジャングルのように広がるこんにゃく芋畑は、一度見てみる価値があるだろう。こんにゃく芋の出荷には3年の月日が必要で、地元ではその年数ごとに「一年生」、「二年生」などと呼ばれる。周辺をドライブしながらその成長度合いを見比べるのも楽しい。また、早朝の夜も明けぬ時間から煌々と照らすライトの下で、その日のうちに首都圏へ出荷するために行われるレタスの収穫作業は昭和村を代表する光景の一つである。

 

また、村内は伝統的な祭りごとが盛んであり、とりわけ和銅6年(713年)の創建と伝わる大玉神社で9月30日・10月1日に催される諏訪祭では、最終日に「かつぎまんどう」と呼ばれる武者人形の乗せた山車がぶつかり合う熱狂的な祭りが催される。その他、五穀豊穣を祈って4月に永井箱根神社へ奉納される太々神楽(だいだいかぐら)や、無病息災と農作物の健康な成長を祈って6月に糸井地区で行われる「なんまいだ(百万遍)」など趣ある伝統が今なお残されているので、興味のある人は訪れてみると良い。

 

赤城山の麓には奥利根ワイナリーがあり、冷涼な気候と水はけの良いテロワールから醸造されるワインの味には定評がある。ワイン工場の見学やテイスティング、レストランでは地元食材を使った料理も味わうことが出来るので、時間があれば足を延ばしてみたい。

 

どこまでも続く畑の中に、かぶと造りの立派な佇まいの民家が残された光景は古き良き昭和の時代を感じさせ、ほっとした気持ちにさせる。

群馬県昭和村

面積:64.14km2

人口:7,089人(2018年4月1日現在)

公共交通機関の場合:

東京駅より上越新幹線に乗って高崎駅で上越線に乗り換え、岩本駅下車(約2時間30分)

岩本駅よりタクシーで約10分

車の場合:

東京から150km(約2時間)

飛行機の場合:

羽田空港から180km(約2時間10分)

「日本で最も美しい村」連合 加盟村(2009年より加盟)

  • 登録地域資源

①河岸段丘と農村風景

②歴史を残す家並みと横井戸

2018年8月26日:ページ更新

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