群馬県中之条町の北西部、面積の90%以上を森林と原野が占める標高600m~2,300mの山間部に六合の村は位置する。2010年に旧六合村が合併され、現在は中之条町の一部となっている。
六合の最大の魅力は養蚕農家として建てられた民家や蔵、神仏を祭る建物が数多く残る赤岩集落であり、幕末や明治時代の養蚕集落の美しい景観を見ることが出来る。2006年に群馬県としては初めて国の重要伝統的建築物群保存地区に指定された。
湯本家住宅は文化三年(1806年)に二階建てで建てられた。明治三十年(1897年)に養蚕のために三階部分が増築され、六合を代表する建築の一つとなっている。全国的にも珍しく土壁と置屋根の土蔵造りで建てられているのは、湯本家が建築された直前の享和三年(1803年)に集落で大火があり殆どの民家が焼け落ちてしまった教訓からであると言われている。
また「上の観音堂」は宝暦十四年(1764年)に建造された集落内でも最も古い建築物である。堂内の仏壇には、中央には聖観音立像、右に薬師如来像、左に不動明王像が残されている。また、赤岩内で現存する唯一の茅葺き屋根でもある。その他、「毘沙門堂」、「赤岩神社」、「向城の観音堂」、「東堂」、「稚蚕飼育場」などが見どころとしてある。
また、六合には「天空の湖」という愛称で親しまれている野反湖があり300以上の高山植物が彩りを加えている。とりわけ7月上旬には鮮やかな黄色い花が特徴的なノゾリコスゲが咲き誇り、黄色く縁どられた湖の姿は圧巻の光景である。また、鉄鉱石の露天掘り鉱山跡に全国的にも珍しい「チャツボミゴケ」が自生しているので興味のある方は立ち寄ると良い。
六合の村を訪れたらぜひ味わいたいのが、「花いんげん」である。「花まめ」の名称でも知られ、本州における「花いんげん」発祥の地でもある。粒が大きく光沢があるのが特徴で、甘く煮た缶詰はお土産としても人気である。
赤岩の集落を歩いた後は、川そのものが温泉になっている尻焼温泉を訪れて旅の疲れを癒したい。六合の村は自然に囲まれながら、古い良き山村地域の文化を満喫することが出来る。