スペイン南部アンダルシア地方のシエラス・デ・アルミハラ・テヘーダ・イ・アルアマ自然公園(Parque Natural de las Sierras de Almijara, Tejeda y Alhama)の崖の上に佇むフリヒリアナの村は、緑の丘に粉糖を振りかけたかのように白く染まっている。1982年にはスペイン国内の景観美化アワード(Premio Nacional de Embellecimiento)で最優秀賞を受賞したこともある名実共に美しい村である。
モリスコ・ムデハル(morisco-mudéjar)文化に起源を持つフリヒリアナの歴史地区は、この地域の特徴を色濃く留めており、スペイン文化庁の歴史・芸術遺産(Conjunto Historico Artistico)にも指定されている。また、2009年にオープンしたフリヒリアナ考古学博物館も訪れてみると良いだろう。17世紀に建てられたアペロ邸(Casa del Apero)内にあるため、建物自体が展示品の一部となっている。
その他、現在糖蜜の工場として利用されているエル・インジェニオ(El Ingenio)と呼ばれる16世紀のフリヒリアナ公の邸宅、バロック時代のキリスト教の伝統が残るエッチェ・オモ修道院(Ermitage d’Ecce Homo)や1676年に起源を持つルネサンス様式が美しい純白のサン・アントニオ・デ・パドュア教会(Iglesia San Antonio de Padua)など見どころも多い。
村は16世紀のムーア人迫害政策に対して勃興したモリスコスの反乱の際にも重要な役割を果たした。アルミハラ山脈を支配していたフリヒリアナの要塞は、1568年にドン・ルイ・レクエセンス(Don Luis de Requesens)に率いられたキリスト部隊の隠れ家として用いられ、最終的に勝利を果たした。
村では様々な郷土料理が楽しめる。復活祭のタラのスープ(Potaje de bacalao en Semana Santa)はこの地域の名物なので、是非とも味わいたい。また、特産の糖蜜を使ったアロピア(Arropía)やマルコチャス(Marcochas)といったお菓子はお土産に最適である。
8月の最終週にはフリヒリアナ・トゥレス・クルトゥレス・フェスティバル(Festival Fragiliana 3 Cultures)が催され、この村でキリスト教・イスラム教・ユダヤ教の歴史的・文化的な伝統が交わり共存することが祝われる。村中の至る所にブースが設けられ、様々な音楽・芸術・食文化などに触れることが出来る盛大なイベントとなるので、ぜひ訪れたいお祭りの一つである。
バリバルト(Barribarto)(もしくは、バイロ・アルト(Bairro Alto))と呼ばれる地区には、石灰岩の白い壁に沿いに終わることのない曲がりくねった小路が続いている。ムーア人の住んでいたアラブの時代の街並みを想像しながらフリヒリアナの道を歩くと、この村の持つ稀有な歴史性に一層惹きつけられるだろう。
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