ベルグハイム／Bergheim

【ブドウ畑と城壁に囲まれたアルザスの村】

アルザス地方の中心都市コルマールから北に15キロほど、ロマンチックな風景広がるアルザスワイン街道沿いに佇むこの村。

この地で発見されたローマ時代の古いモザイク画は、村の旧ユダヤ教集会所シナゴーグやコルマールのウンターリンデン美術館で展示されている。

住民たちの誇りであるワインブドウと城壁に縁どられた旧市街では、木組みの家が立ち並ぶ可愛らしい街並みが楽しめる。

この村の中心市街地は保存状態の良い14世紀の城壁に囲まれており、中世アルザス地方の城塞都市の典型例と称されることもある。

城壁の上は散歩道として整備されており、道中では建築された年によって様々なフォルムが楽しめる9つの塔などを見ることが出来る。

村への入り口になっているポルト・オート門は、かつて存在した4つの城門のうちの一つ。

手前に整備された庭園には1313年に植えられたシナニキがあり、アルザス地方で最も古い木としても知られている。

中央通りの最奥部に位置するノートルダム・ド・ラソンプション教会は、その存在を700年に遡ることのできる歴史ある教会。

1287年に崩壊してしまったものの、1347年に再建され建設当初のゴシック様式の面影が随所に残る。

19世紀には教会南側に、ネオゴシック様式の聖具室と礼拝堂が付け加えられた。

建物入り口を彩るゴシック様式のタンパン彫刻は14世紀のもので、東方三博士の礼拝の場面を表している。

教会内は18世紀に行われた改築によって、トスカーナ風円柱に支えられたバロック様式の空間が広がる。

また福音書記者たちの象徴や聖ゲオルギウスと竜、キリストの磔刑などを描いた14世紀のフレスコ画も必見。

この村は1582～1683年にかけて、魔女狩りの舞台となったことでも知られている。

村で保管されているアーカイブ資料では、39人の女性が焼かれ、1人は首吊り、他3名は拷問中に死亡したとの記録が残っている。

教会のすぐ隣に佇む『メゾン・ド・ソルシエール（魔女の家）』と呼ばれる建物では、こうした魔女裁判に関する貴重な資料が展示されている。

1550年に建てられたこの資料館は、かつては納骨堂や男子学校としても用いられていたもので、裏手には小さな庭園も整備されている。

カラフルな色の木組みの民家が立ち並ぶ可愛らしい街並みを、色とりどりの花々が彩る旧市街。

時間のほかにも季節や日付、太陽の位置や日の出日の入り時間を知ることの出来る日時計は1711年製で、アルザス地方で最も古いものの一つである。

村の中心にあるウォルター博士広場には、職人組合の本部が置かれていた1767年の建物を活用した村役場が佇む。

同広場は、階段状の屋根飾りが特徴的なライン流域風ルネサンス様式で建てられた1566年の民家や、バロック様式のモチーフに飾られた18世紀の建物などもあり美しい空間が広がる。

この村のワインの歴史は古く、768年のカロリング朝時代の書物に初めてこの村のブドウに関する記述が現れる。

1423年にはすでにワイン生産者組合が組織され、村内にはその本部やワイン醸造家の民家が軒を連ねる。

現在でもワイン造りは住民の暮らしを支えおり、村の周囲をブドウ畑が取り囲んでいる。

特にアルテンベルグとカンツラーベルグの畑で取れたブドウから造られる白ワインは、アルザスワインとして最高品質であることを示すグラン・クリュ（特級）に指定されるなど、世界的にも高い評価を得ている。