ビジャファメスは県都のあるカステリョン・デ・ラ・プラナ(Castellón de la Plana)市から15kmほど(車で約20分)の場所に位置し、小高い丘の上から村がひろがっている。
丘の頂上にはビジャファメスの城があり強固な城壁に守れらている。イスラム教徒が支配していた時代の要塞を、1233年のハメイ1世(Jaume I)によるレコンキスタによりキリスト教徒が支配した後に手が加えられ、ハメイ2世(Jaume II)の設立したモンテザ騎士団が住民に城の修復と要塞化を命じた。19世紀に勃発したカルリスタ王位継承戦争の際に、中央の塔が建設されたことで現在の姿に至る。
城の手前にはアスンシオン教会(Iglesia de la Asunción)があり、1594年から建築が始まった。内部の装飾は豪華で、17世紀に着手され、サラゴサの建築家アグスティン・サンス(Agustín Sanz)の手によっても入念に作り上げられた祭壇画は必見。その他、天井のフラスコ画や金銀装飾、18世紀のバレンシア陶器が使われた台座など見どころは多い。
村内は赤みがかった岩が多く、家々はその岩を取り入れた形で建てられている。村の中心にあるロッカ・グロッサ(ROCA GROSSA)という巨石は村の名物。また、アブリック・デル・カステル(Abric del Castell)と呼ばれる先史時代の岩壁画は、1998年に「イベリア半島の地中海沿岸の岩絵」の一部としてユネスコの世界遺産登録を受けている。
旧市街に足を踏み入れると、狭くてジグザグした小路が連なり、アラブ人が住んでいた時の都市の特徴を留めている。赤い石が剥きだした家壁と、長い年月をかけた風化作用がコントラスト生み出し、村を歩くと連続する油絵の作品の中に迷い込んだような美しい村である。