イタリア北西部のリグーリア海岸に位置するヴェルナッツァの村は、地中海に沿って横並びに佇むモンテロッソ・アル・マーレ(Monterosso al Mare)、コルニリア(Corniglia)、マナローラ(Manarola)、リオマッジョーレ (Riomaggiore)と共に、色とりどりの民家が並ぶ景観が美しいチンクエ・テッレ(Cinque Terre)を形成し、ユネスコの世界遺産にも登録されている。
村の名前は中世イタリアの作家ボッカチオの物語「デカメロン」の中で桃源郷を表す描写にも使われた白ワイン(用のブドウ品種)「ヴェルナッチャ(Vernaccia)」に由来するとも、この土地を支配していた名家「ヴルネチア家(Vulnetia)」に由来するとも言われている。
ローマ時代から続く港のほとりには、まるで波から村を守るようにサンタ・マルゲリータ・ディ・アンティオキア(Santa Margherita di Antiochia)教会が構えている。リグーリアン・ゴシック様式で建てられ、高さ50mにも及ぶ八角形の塔と、脇ではなく祭壇後方の半円型部分に設けられた入口が特徴的である。内部には15世紀ゴシック様式の見事な聖櫃が置かれている。
旧ドリア城(Castello Doria)の円筒状の見晴らし台と四角形の塔はジェノヴァ共和国時代の防衛のための建築物跡である。海岸沿いにはテラス付きの民家が立ち並び、丘の上には円柱で支えられたアーケードと狭い路地が張り巡らされ、積み上げた石垣、オリーブの木、咲き誇る花々、香り豊かなハーブが周囲を縁取る。
時間があれば山道を登った先にある、ノストラ・シニョーラ・ディ・レッジオ聖堂(Santuario di Nostra Signora di Reggio)まで足をのばしたい。11世紀の建築で、黒い聖母が眠っている。
この地を訪れたらモンテロッソのアンチョビ、トマト、ジャガイモで作られるチアン・ヴェルナッツァ(tian Vernazza)や、バジル・松の実・オリーブオイルなどで作られるペスト(pesto)と呼ばれるソースをかけたトロフィエ(trofie:パスタの一種)を試したい。評判の良いチンクエ・テッレの白ワインや、シャッケトラ(Schiacchetrà)と呼ばれる特産の甘口ワインと一緒に味わいたい。
かつて船乗りたちが遠く離れていても自分たちの家を見失わないようにと造られた色鮮やかな家々は、今日訪れる人々を魅了し、一生忘れることのない情景を深く胸に刻み込む。
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