世界遺産ドロミーティに囲まれたヴァッレ・デル・プリミエーロ (Valle del Primiero)の中に位置するメッツァーノは牧歌的な雰囲気の村である。村の名前は、プリミエーロ峡谷の村々の「中間(Mezzo)」に位置するからとも、この地域を治めていた「デ・メザン家(De Mezan)」に由来するとも言われている。
石でできた壁に木の窓枠とバルコニーの民家、狭くて曲がりくねった小路など、村の中心部にはチロル地方の昔から変わらぬ街並みが残されている。村に残された古い民家タビア・デ・ラ・ジェーマ(Tabià de la Gèma)の内部では、マリオ・コローナ(Mario Corona)の手による芸術的なプレセピオ(※キリスト降誕の場面を描いた人形模型)が飾られている。また、タビア・デル・リコ(Tabià del Roco)では昔の共同洗濯場や村に残された伝説に関する展示が行われている。
最近建てられたシビックセンターには伝統的な建築様式が取り入れられ、過去と現代が上手く調和されている。他にもブローロ広場(Piazza Brolo)やフォンタナ広場(Piazza Fontana)で、景観維持のための村の取り組みを見ることが出来る。
また、この地域の厳しい冬を過ごすには欠かすことの出来なかった「薪」を使った現代アートが村内のあちこちに散らばっているので、探して歩くと楽しいだろう。
その日に搾った牛のミルクを使ったフレッシュ・チーズのトレーザ・ディ・プリミエーロ(Tosèla di Primiero)を味わいたい。かつては、渦に巻いたソーセージのルガーネガ(luganega)と、トウモロコシの粉を練ったポレンタ(polenta)と共に朝食に食べていた。さやいんげんとソーセージを燻製リコッタ・チーズと共に煮込んだ料理(El tonco con polenta e teghe a la poìna)も試してみると良いだろう。
村のすぐ近くには、牧草地が広がるコルドーニェ=サン・ジョバンニ(Cordogné-San Giovanni)の散歩道が整備されている。2時間程度で一周出来るので、ドロミティ渓谷の澄み切った空気の中で思う存分自然に浸るもの良いだろう。