セル

Celles

聖アドランの教えを受け継ぐ人々の村

4つの小さな谷に囲まれた盆地にセルの村は佇む。村の名は小部屋を意味する『cellule』が語源とされ、669年に聖アデランが静かにこの村で隠者住まいを始めたことに由来している。その後、彼の弟子たちがこの地域で熱心な布教活動を行ったと伝えられている。

 

小高い丘の上に見えるのは、ネオ・ロマネスク様式が美しいサン・アデラン・カトリック参事会修道院。円柱と煉瓦のアーチを組み合われたアーケードが印象的で、ライラックの花の逆さ模様が刻まれている。現在は小学校として使われており、平日は無邪気な子供たちの声が聞こえてくる。

 

修道院へと至る坂道には、この地域で産出される青色を帯びた石で作られた14個の石塔が並ぶ。この現代芸術は、キリストが十字架を背負って進んだとされる苦難の道(chemin de croix)が表現されている。また、階段を登る途中で後ろを振り返ると集落が感じ良く佇む風景が広がっている。

 

村の中心の小さな広場には、天高く伸びる八角形の尖塔が印象的なサン・アドラン教会が建っている。11世紀の建築で、ロマンネスク芸術の傑作と讃えられるこの教会は、内部に設えられた墓石や13世紀に造られた木製の聖職者席など、見どころも豊富である。とりわけ、教会の塔と内陣とを結ぶようにして造られた地下礼拝堂は印象的で、聖アデランの聖遺物などが収められていた。

 

教会の周囲には石灰岩で建てられた伝統的な住居が立ち並び、和気あいあいとした温かみのある雰囲気を創り出している。歴史ある扉や、(金属や陶製の)塔飾りであるエピ(épis)、(T字やX字型などの)緊結金物、金属製のフック、錠前、(馬車門に扉に取り付けられた)車止め(potales)、(地下室のための)天窓など、個性あふれる装飾を探して歩くのも楽しい。

 

村の外れには第二次世界大戦に使われたドイツ製の戦車パンサーなども置かれており、この長閑な地域もかつては大きな戦場となっていた過去を伺い知ることが出来る。村の中心から2キロほど足を延ばした先にある14世紀に建てられたヴーヴ城も、併せて訪れてみるのがお勧めである。

 

中心部にはおしゃれなレストランが点在しているので、散策の後には地ビールのキュヴェ・サン・アデラン(Cuvée St Hadelin)と共に、ゆっくりと食事を楽しむと良いだろう。

 

村は小さなサン・アデラン川の流れに沿って形成されており、川の畔や多くの民家は花に彩れている。周囲の豊かな自然と中世から変わらない特徴的な街並み。水辺に沿って歩くとノスタルジックな想いに耽る、そんな特別な場所である。

ナミュール州ウイエ町セル/Celles (Houyet, PROVINCE DE NAMUR)

面積:122,31 km2 (ウイエ町

人口:4,876人(ウイエ町、2018年現在

公共交通機関の場合:

ブリュッセル南駅(Bruxelles-Midi)から電車に乗って、ナミュール駅(Namur)で乗り換えて、ディナン駅(Dinant)下車。(約2時間)

ディナン駅前停留所(DINANT/Gare)からワロン公共交通(TEC wallon)の67/1番線(ligne 67/1)に乗って、ボワセイユ:サン・ドナ通り停留所(BOISSEILLES/Rue Saint-Donat)下車(約30分)

ボワセイユ:サン・ドナ通り停留所からセル旧市街へ徒歩で移動。(約30分)

車の場合:

ブリュッセル(Bruxelles)から100km(約1時間10分)

リエージュ(Liège)から70km(約1時間)

飛行機の場合:

ブリュッセル国際空港から100km(約60分)

「ワロンの最も美しい村」協会 加盟村

2019年12月02日:ページ更新

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